顧客概要
- お名前:W様
- 年齢:85歳
- 性別:女性
- お住まい:東京都豊島区
- 家族構成:娘2人
ご依頼の経緯
W様は、栃木県にあるご実家を所有していました。この不動産はW様が相続したもので、長い間空き家となっていました。W様の娘様たちは、「母が健在なうちに実家を売却しておきたい」と考えており、不動産業者にも相談をしていました。
しかし、実家は広大な敷地であるため、不動産業者からは「売却には時間がかかる可能性が高い」と言われていました。さらに、W様がご高齢であることから、売却手続きの途中で判断能力が低下した場合、これまでの売却手続きがすべて水の泡になってしまうリスクがありました。
そこで、「万が一、判断能力が低下しても売却が進められる仕組みを作りたい」という思いから、家族信託の活用を検討されました。
担当司法書士のコメント
W様はすでに85歳とご高齢であり、売却手続きのご負担もあり娘様方に全て任せたいというご意向でした。更に娘様からは「母は、最近物忘れが多く、軽度の認知症の症状が出ていると思う」とのお話しもあり、できる限り早急に家族信託契約を締結する必要がありました。
通常、家族信託の契約書作成には2〜3か月かかることが一般的ですが、W様の場合は契約の締結を急ぐ必要があったため、最優先で手続きを進め、約1か月で家族信託の組成を完了させました。
家族信託の仕組みとしては、長女様を受託者とし、不動産の管理・売却をスムーズに進められるよう設計しました。これにより、万が一W様の判断能力が低下しても、長女様が受託者として不動産の売却手続きを進めることができるようになりました。
家族信託を活用することで、成年後見制度を利用することなく、スムーズな不動産売却が可能になりました。成年後見制度は、後見人にご家族がなれるとは限らず、一時利用の方策も考えられてますが、現状、一度利用すると取り消しが難しくなど、手続きの自由度が低くなってしまうという可能性があります。後見制度との比較検討をし、今回のケースでは、家族信託を選択したことで、手続きの柔軟性を保ちつつ、不動産売却を進めることができるようになりました。
その結果
W様は、無事に家族信託契約を締結することができました。
長女様が受託者として不動産の管理や処分を引き受けることで、W様のご負担や判断能力が低下しても手続きが頓挫するリスクを回避できました。これにより、不動産売却の準備が着実に進められるようになり、安心して実家の処分に向けた取り組みを進めることができるようになりました。
お客様の声
「実家不動産の処分には時間がかかりそうだったので、手続きが途中で頓挫しないような仕組みを作れて安心しました。当初の目標である実家の処分に向けて、大きく前進することができました。これで、母の体調が変化しても、スムーズに手続きを進められるので、安心して見守ることができます。」
まとめ:家族信託で高齢者の不動産売却リスクを回避
今回のケースでは、「家族信託」を活用することで、高齢のW様のご負担や判断能力低下による不動産売却手続きの頓挫を回避することができました。
不動産の売却には時間がかかることが多く、特に広大な土地の場合は売却が長期化する可能性があります。そのため、高齢の所有者がいる場合は、事前に家族信託を活用することで、将来的なリスクを軽減することが可能です。
家族信託は、成年後見制度と異なり、財産の管理や処分の自由度を高く保つことができるため、不動産売却をスムーズに進めたい方には非常に有効な手段となります。
当事務所では、家族信託を活用した不動産対策のご相談を承っております。「将来の不動産売却を円滑に進めたい」「高齢の親の判断能力低下に備えたい」といったお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。