顧客概要
U様(65歳・女性・栃木県宇都宮市在住)は、過去に当事務所にて家族信託契約を締結されたお客様です。
お母様を委託者、U様をご自身を受託者とする家族信託を締結しており、生まれ育ったご実家不動産の管理を行っていました。このたびお母様にご相続が発生し、家族信託が終了することとなりました。
ご依頼の経緯
家族信託設定当初から、信託終了後の財産管理に不安を感じていたU様。
今回、お母様の逝去により信託が終了し、信託財産であったご自宅不動産をどのように取り扱うかについてご相談をいただきました。
信託契約上、帰属権利者はU様と弟様と定められていました。
信託終了により不動産を名義変更し、共有状態で売却手続きを進める方法もありましたが、共有名義では売却時に双方の同意や複雑な調整が必要となり、取引に支障をきたすリスクがありました。
できるだけスムーズに売却を完了させたいというU様のご希望を受け、煩雑な手続きを避ける別のアプローチを検討しました。
担当司法書士のコメント
本件では、以下の方法で問題解決を図りました。
- 受託者による清算手続きとしての売却提案
信託終了後、受託者U様が清算手続きの一環として不動産を売却し、得た金銭を帰属権利者に分配する方法をご提案しました。この方法により、不動産の共有登記を経ることなく、スムーズに財産の帰属処理が可能になりました。 - 信頼できる不動産業者の紹介
当事務所と連携している、信託不動産の取り扱いに慣れた不動産業者をご紹介しました。通常の売買とは異なり、信託財産の売却には特有の留意点があるため、適切な業者選びもポイントとなりました。 - 売却代金の分配に向けた適切な管理と説明
売却後、受託者としての責任を果たすため、売却代金を正確に管理し、U様と弟様に対して適切に金銭を分配できるようにサポートしました。また、全ての手続きの流れについて都度説明を行い、安心して進めていただきました。
結果的に、複雑な名義変更手続きや調整を回避でき、U様も弟様もストレスなく売却を完了することができました。U様の場合、当初の信託設定時に将来的な売却可能性を加味し、清算手続き時に売却ができるよう明記をしておいたことも今回の手続きがスムーズにいった要因です。
お客様メッセージ
「家族信託の設定時からお世話になっていましたが、終了後の手続きについても本当に心強かったです。信託が絡むことで普通の売却よりも複雑になるかと思っていましたが、信託設定時から、将来の信託終了までのことを考えて設計をいただいていたので、無駄なくスムーズに進み、大変助かりました。専門家に頼ったことで私自身の負担はなく、安心してお任せできたので、また何かあればぜひお願いしたいと思います。」