顧客概要
株式会社C様/東京都港区/イベント業/中小企業/担当者:C様
ご相談の背景・経緯
株式会社C様は、東京都港区で複数のイベント店を経営されている中小企業です。日々の運営に忙しく、法人の手続きは設立当初から顧問税理士任せにしていたため、法務関連の管理は後回しになっていました。
そんな中、法人宛てに法務局から「みなし解散予告通知書」が届いていたものの、書類の内容をしっかり確認せず、他の郵便と一緒に保管したままになっていたそうです。実際には、最後の役員重任登記から10年以上が経過しており、法務局は「会社が活動していない」と判断。通知から2ヶ月が経過し、正式に「解散登記」が行われてしまいました。
それに気づいたのは、店舗運営資金のために金融機関から借入をしようとした際でした。金融機関の担当者から「登記簿上はすでに解散済みの会社になっています」と指摘され、ようやく事態の深刻さを認識。すぐに顧問税理士を通じて、当事務所へご相談いただきました。
専門家のポイント解説
この事例では、「会社がきちんと営業しているかどうか」ではなく、「登記簿に動きがあるかどうか」が判断の基準になる、という法人登記の特性がはっきり表れました。
株式会社の役員(取締役)には任期があり、通常は2年、定款によって最長10年まで延長が可能です。任期が満了し、同じ人が再任されたとしても、「その旨を法務局に登記しなければならない」というルールがあります。これが、いわゆる「役員重任登記」です。
株式会社C様では、設立当初に取締役を10年任期として設定していたものの、任期満了時に重任登記を行っていませんでした。その結果、登記簿上は「12年以上、何の変更もされていない会社」として扱われ、法務局から「みなし解散予告通知」が送られることとなりました。
みなし解散とは、会社が長期間登記を怠っている場合に、法務局が「活動していない会社」とみなし、一定の手続きを経て強制的に解散させる制度です。通知から2ヶ月以内に必要な対応(たとえば、継続中である旨の届け出や、役員の重任登記)を行わないと、自動的に解散登記がされてしまいます。
株式会社C様は、通知の存在を知りながら詳細を確認せずに放置していたため、結果的に会社は解散したことになってしまいました。もちろん、実際には営業を継続しており、運営も問題なく続けられていたため、「解散済み」という登記がもたらす影響は大きなものになります。例えば、融資や銀行取引、契約の継続にも支障をきたす可能性がありました。
当事務所では、まず会社の登記情報を精査し、必要な情報と書類を整理したうえで、「会社継続の登記」を行いました。これは、すでに解散登記がされてしまった会社について、一定の条件を満たすことで再度「継続中の法人」として復活させることができる手続きです。
手続きの中では、株主総会の議事録の作成等をあわせて行う必要がありました。これらの書類を整え、無事に「会社継続の登記」が完了。株式会社C様は、これまで通りの営業活動を続けることができるようになりました。
みなし解散は、放置しておくと法人の信頼や事業継続に重大な支障を及ぼす制度です。「会社はちゃんと動いているから大丈夫」と思っていても、登記の世界では“登記されていなければ、存在していない”とみなされるリスクがあります。
法人を運営しているすべての経営者の方にとって、定期的な登記のチェックと、専門家への相談が非常に重要です。当事務所では、任期管理のスケジュール化や登記の事前アラートなど、予防的なサポートにも力を入れています。
お客様の声
まさか自分の会社が「解散している」と言われるなんて思ってもいませんでした。法務局からの通知も届いてはいたのですが、忙しさもあって後回しにしてしまい、内容をしっかり確認しないまま放置していたのが原因です。
ある日、運営資金のために金融機関から借入をしようとしたところ、担当者から「登記簿上では御社は解散済みになっています」と言われ、初めて事態の重大さに気づきました。融資どころか、今後の信用にも関わるかもしれないと焦り、急いで専門家に相談しました。
こちらの事務所に相談して本当に良かったです。状況を丁寧に整理してもらい、何をどうすればいいかを明確に教えてくれましたし、会社継続の登記手続きも迅速に進めてもらえたおかげで、実務にはほとんど影響が出ずに済みました。
今後は、登記のことを「後回しにできる事務作業」ではなく、会社を守るための重要な管理業務として、きちんと対応していきたいと思います。同じように事業に集中している経営者の方にも、ぜひ早めに専門家に相談することをおすすめしたいです。