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[相続終活のリアル]

【相続終活のリアル】#15海外に相続人がいる場合の遺産分割 – 対応策と課題

  • 投稿:2025年04月24日
  • 更新:2025年05月08日
【相続終活のリアル】#15海外に相続人がいる場合の遺産分割 – 対応策と課題

相続専門の司法書士廣木涼です。

相続の手続きにおいて、相続人が海外に住んでいる場合、通常とは異なる手続きが必要になります。今回は、海外在住の相続人がいる場合の遺産分割協議での対応や課題についてご説明します。

海外在住者の書類準備の問題

相続手続きでは、通常、相続人の住民票や印鑑証明書が必要になります。しかし、海外に住んでいる方は、これらの書類を取得することができません。その代わりに必要になるのが以下の書類です:

  • サイン証明:印鑑証明書の代わりになるもの
  • 在留証明:住民票の代わりになるもの

これらは日本大使館で取得することができますが、取得のタイミングや方法について分からないことが多く、専門家のサポートが必要になることがほとんどです。

日本国籍を離脱している場合の対応

相続人が日本国籍を離脱して外国籍を取得している場合は、さらに異なる手続きが必要になります。例えば、アメリカ国籍の相続人であれば「ノータリー」(公証人)による証明が求められます。

具体的な手続きとしては:

  • 日本語の遺産分割協議書を作成
  • 英文の訳文を準備
  • 現地の公証人の前で署名をする

このように、国籍が変わっている場合は、より複雑な手続きが必要になります。

相続人全員の合意が必須

海外に住んでいる相続人がいても、その方を無視して遺産分割を進めることはできません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要で、全員の実印による捺印が求められます。

実印を持っていない相続人がいる場合は、まず印鑑登録をして実印を作る必要があります。相続人が多ければ多いほど、また遠方に住んでいる相続人がいればいるほど、遺産分割の手続きは複雑になります。

さらに複雑なケース

相続の問題は、さらに複雑なケースもあります:

  • 被相続人(亡くなった方)が海外で亡くなった場合
  • 被相続人が海外に財産を持っていた場合

このような場合は、その国の法律に基づいた手続きも必要になり、言語の問題や現地への訪問が必要になることもあります。これらのケースでは、海外専門の司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

遺産分割のトラブルは、必ずしも相続人同士の関係が悪いことだけが原因ではありません。相続人が海外に住んでいたり、認知症などで判断能力に問題がある場合など、さまざまな要因で通常とは異なる手続きが必要になることがあります。

こうした複雑なケースに備えて、遺言書を残しておくことも一つの対策です。相続人が誰であるかを確認し、その中に海外在住者や行方不明者などの特殊なケースがある場合は、事前に対策を講じておくことが重要です。

相続、終活に関する情報発信を通して、トラブルになる前に気を付けた方がいいことを皆さまに知ってもらい、ご自身やご家族が困らないような対策をするきっかけになってもらえればと思っています。

廣木

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