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[相続終活のリアル]

【相続終活のリアル】#17自筆証書遺言の特徴と注意点

  • 投稿:2025年04月24日
  • 更新:2025年05月08日
【相続終活のリアル】#17自筆証書遺言の特徴と注意点

相続専門の司法書士廣木涼です。

遺産分割協議におけるトラブルを避けるためには、遺言書が有効です。一般的に使われるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。今回は特に自筆証書遺言について詳しくご説明します。

「ゆいごん」と「いごん」について

まず、「遺言」という用語についてお伝えしておきたいことがあります。法律上の正しい言い方は「遺言(いごん)」ですが、一般的には「遺言(ゆいごん)」とも呼ばれています。どちらも間違いではありませんが、私は一般的に理解しやすい「遺言(ゆいごん)」という言葉を使っていくことが多いです。

自筆証書遺言の基本的な要件

自筆証書遺言とは、遺言書の内容を自分の手で書いたものです。基本的な要件としては以下が必要です:

  1. 遺言内容を自分の手書きで書く
  2. 日付を記入する
  3. 名前を書く
  4. ハンコを押す(実印である必要はなく、認印でも可)

これらの要件が揃っていないと、遺言書として無効となってしまいます。特に印鑑がないと無効になるので注意が必要です。また、住所は必須ではありませんが、書いておくと良いでしょう。

財産目録は手書きでなくても良い

遺言書の内容は自筆で書く必要がありますが、財産目録(不動産や預金などの財産リスト)については手書きでなくてもかまいません。例えば、通帳のコピーを添付して「添付した資料の通帳を長男の○○に相続させる」と手書きで書き加えることも可能です。

ただし、誰にどの財産を渡すかという部分は必ず自筆で書かなければなりません。パソコンで作成した遺言書に自分のサインだけを入れても無効となってしまいます。

自筆証書遺言の注意点

連名での作成は不可

意外と知られていないのが、連名での作成ができないという点です。例えば夫婦で「私たちの財産はこのように分けます」といった形で一つの遺言書を書くことはできません。遺言書は一人一人が別々に作成する必要があります。

これは、日本では夫婦であっても財産は基本的に個人のものとして扱われるためです。通帳なども連名では作れないことからも分かるように、自分の財産と配偶者の財産は別物という考え方になります。

代筆は認められない

高齢になると手が震えたり、長い文章を書くことが困難になったりすることがありますが、子どもなど他の人による代筆は認められていません。もし書くことが難しい場合は、公正証書遺言を検討すると良いでしょう。

自筆証書遺言と公正証書遺言の利用状況

現在、遺言書を作成する方の中では、自筆証書遺言の方が多いです。そもそも遺言書を残す方自体はそれほど多くありませんので相続後は遺産分割協議になる方が最も多く、次いで自筆証書遺言、そして公正証書遺言という順です。

世代によっても傾向があり、特に高齢の方は「自分が書いたものなら大丈夫だろう」と自筆証書遺言を選ぶ方が多いようです。

自筆証書遺言の問題点

自筆証書遺言には以下のような問題点があります:

  1. 書かされたのではないかという疑いが生じる可能性がある
  2. 証人がいないため、一部の相続人に有利な内容の場合、隠されるリスクがある
  3. 高齢になると手書きが難しくなる

特に複数の子どもがいて、それぞれが家庭を持っている場合や、財産が多い場合は、自筆証書遺言では不十分なケースが多いです。

どんな時に自筆証書遺言が適しているか

私自身も自筆証書遺言を作成していますが、それは財産があまり多くなく、子どもも小さいため、基本的に配偶者に財産を残すという単純な内容だからです。若い方で、シンプルな内容であれば、自筆証書遺言で十分な場合が多いでしょう。

しかし、子ども世代がそれぞれ家庭を持ち、異なる生活をしている場合や、財産が多い場合は、専門家に相談して公正証書遺言を作成することをお勧めします。抜け落ちることなく、より安心できる形で遺言を残せるからです。

次回は公正証書遺言について詳しくご説明します。

相続、終活に関する情報発信を通して、トラブルになる前に気を付けた方がいいことを皆さまに知ってもらい、ご自身やご家族が困らないような対策をするきっかけになってもらえればと思っています。

廣木

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