[相続終活のリアル]
【相続終活のリアル】#3具体的な相続人
- 投稿:2024年01月22日
- 更新:2024年09月26日
相続専門の司法書士廣木涼です。
前回は、相続とは何かということについてお話ししました。今回は、具体的な相続人についてお話ししていきます。
相続人になる人は?
まず、相続人となるのは、配偶者です。配偶者以外の他の相続人が誰かによって相続割合は異なりますが、配偶者は必ず相続人になります。
相続人には順位があり、子どもが第一順位、直系尊属といって父母・祖父母が第二順位、兄弟姉妹が第三順位の相続人となります。
子どもがいれば、配偶者と子どもが1/2ずつ相続し、子どもがいなければ、親が相続人になります。配偶者と親が相続人になる場合、相続割合は配偶者が2/3、親が残りの1/3になります。
両親が亡くなっている場合、兄弟が相続人となり、相続割合は配偶者が3/4、兄弟が1/4になります。
相続人が多いと、それだけ相続割合が細かくなり、子どもが3人いれば子どもの相続割合1/2をさらに3人で割るので、一人当たり1/6ずつということになります。
その子どものうち誰かが亡くなっていると、さらにその子どもつまり亡くなった方からすると孫が相続人になりますが、孫がいなければ関係なく、亡くなった子どもの配偶者は血がつながっていないので相続人にはなりません。
具体例
たとえば、息子が亡くなってその奥さんがいる場合に、奥さんとその義理の両親とが仲良くて、奥さんが義理の両親の面倒を見ていたようなことがあっても義理の両親の相続時に奥さんは何の財産を受け取れないこととなってしまいます。
もし息子の奥さんに財産を渡したいのであれば、事前に対策を講じる必要があります。これはまた別の機会にお話しします。
子どもがいない場合、配偶者が2/3、親が残りの1/3になりますが、年齢を考えると親が相続人になるケースは少なく、親がすでに亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹の相続割合は全員で1/4なので、兄弟姉妹が多いと更に相続割合が細かくなっていきます。
兄弟姉妹は同年代なので、すでに亡くなっている兄弟姉妹がいる場合も多く、その場合、兄弟姉妹に子どもがいれば兄弟姉妹の子どもつまり甥姪が相続人になり、相続手続きに協力をしてもらわないといけないということになります。
甥姪が知らないからと言って、自分たちで分かっている者同士で分け合えばいいじゃないか、ということにはなりません。
甥姪からすれば知らないところから急に遺産が舞い込んできたことになり、棚から牡丹餅という状況になることもあります。
また、遺産が少なければ問題は生じないかというとそうではなく、相続が開始すると、銀行口座が凍結してしまったり、不動産も相続人全員の協力がないと売れなかったりという問題が出てきます。
その時に相続人全員の署名、捺印がどうしても必要になるので、全然知らないような相続人でもその人の印鑑をもらわないと口座のお金を受け取れないということにもなってしまいます。
そうすると、相続放棄してもらうか、その人にきちんと遺産を分けるといった話し合いをしなければなりません。
もっとも、相続人の中にはもう面倒だから関わりたくないという人もいれば、生前に何もしてもらえなかったから遺産ぐらいはしっかり受け取りたいという方もいます。
遺産分割には、相続人全員の協力が必要なので、親戚付き合いの中でのちょっとした感情的な部分が出てきますし、時間もかかり場合によっては弁護士費用などもかかります。
さらには、知られざる親戚関係が浮かび上がってくることもあります。そのため、事前に専門家のアドバイスを受ける等していただいて、円満な話し合いをすることが必要です。
相続、終活に関する情報発信を通して、トラブルになる前に気を付けた方がいいことを皆さまに知ってもらい、ご自身やご家族が困らないような対策をするきっかけになってもらえればと思っています。