
廣木 涼
相続専門の司法書士廣木涼です。
今回は前回に引き続き、配偶者が再婚の場合に考えられる問題についてお話ししていきます。
遺産分割の問題は、家族内の関係性によって異なります。
ここでは1つ事例を挙げて紹介していきます。
父、母、子ども2人のケースで、子どものうち1人は両親と同居して面倒を見ており、もう1人は家を出て、両親の面倒は任せっきりでした。まず父に相続が発生し、その後母にも相続が発生しました。父に相続が発生した時は、父の財産は全て母が相続しましたが、母に相続が発生した時が問題でした。
いざ相続になった時にどう分けるかですが、ここで問題になるのが、自宅の存在です。例えば、自宅が2,000万円くらいの価値で、預金が数百万円しかないとします。これを法定相続で分けなければいけないとなると、財産の分け方で意見が食い違ってきます。
面倒を見ていた子どもからすると、自分はここまでやっているから自宅を相続したいという思いがあり、一方で家を出た子どもからすると、家に住んでたんだから住居費も生活費もほとんどかからず金銭的にもメリットがあったはずだ、自分は住宅ローンも払っていて大変だったんだ、平等に家を売って半分ずつ分ければいいじゃないかという思いが出てきます。こうなってしまうとお互いの主張は止まらなくなり、遺産分割トラブルに発展します。
もしお金が潤沢にあって分けられるのであれば、それほど問題にはならない可能性があります。もしくは、家を出た子どもは預金は少しもらえればいいから、家を含めて面倒を見ていた子どもに全部あげるよということになれば、円満な解決です。しかし、なかなかそうもいきません。
また、男性女性限らず、遺産分割協議の時に子どもたちの配偶者が出てくることでもめてしまうことがあります。それぞれの家族には、家族が何十年もかけて築き上げてきた家族の歴史があると思います。ですが、子どもたちの配偶者はその歴史を知らないわけです。なので、家族にとってこれが当たり前というのを理解できず、法律上こうだからという主張をしてしまうことがあります。
このようなトラブルを回避するためには、どのような対策が必要になるでしょうか?
次の3つが効果的だと言えるでしょう。
遺産相続は単なる財産分配の問題ではありません。家族の絆、互いへの尊重、そして率直なコミュニケーションが最も大切なのです。最悪の事態は、相続によって今まで築き上げてきた家族の関係が壊れてしまうことです。
家族の歴史を大切にし、互いを理解し合う姿勢が、スムーズな相続の鍵となります。
相続、終活に関する情報発信を通して、トラブルになる前に気を付けた方がいいことを皆さまに知ってもらい、ご自身やご家族が困らないような対策をするきっかけになってもらえればと思っています。
廣木
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