顧客概要
G様(被相続人)/75歳/年金受給者(無職)/配偶者なし・子供2人(長男・二男)/総資産:4,200万円(金融資産:預貯金1,200万円・不動産:住居3,000万円)
ご相談の背景・経緯
70代の母親であるG様は、ご長男家族と同居しており、遠方には二男が暮らしています。ご家族の仲は良好で、G様には「最後まで面倒を見てくれる長男に、このまま自宅を相続させたい」という強いご希望があり、ご家族もおおむねその方向で認識を共有していました。
しかし、G様の財産(総額4,200万円)の大半は自宅不動産(3,000万円)です。希望通り長男が自宅をすべて相続した場合、もし二男が法律で定められた相続分(法定相続分)を主張すると、長男は不足分を代償金として二男に自腹で支払う必要があります。長男に十分な自己資金がなければ、最悪の場合、G様の希望に反して「自宅を売却して現金で分ける」という事態になりかねず、その対策についてご相談にいらっしゃいました。
専門家のポイント解説
本件の最大の課題は、自宅を売却することなく長男がスムーズに自宅を相続し、かつ、二男にも納得してもらえるだけの代償金をいかにして準備するか、という点にありました。当事務所では、以下の通り生命保険と遺言書を組み合わせたソリューションをご提案しました。
1. 代償金の原資としての生命保険の活用
まず、長男を死亡保険金の受取人とする生命保険に加入しました。相続発生時に長男が保険会社から直接現金を受け取り、それを二男への代償金として支払うことで、長男は自己資金を大きく切り崩すことなく自宅を相続できます。
2. 保険活用に潜むトラブルの種
しかし、この対策には意図せぬトラブルを招く可能性が潜んでいます。生命保険の死亡保険金は、民法上受取人固有の財産とされ、原則として遺産分割の対象になりません。つまり、法的には長男自身の財産となるため、もし長男が「これは母が自分に残してくれたお金だから渡さない」と主張した場合、二男は支払いを強制できず、かえって深刻な兄弟争いを引き起こしかねないのです。
3. 代償金の支払いを義務付ける遺言書をセット作で成
この事態を防ぎ、保険を本来の目的通りに機能させるためには、単に保険に加入するだけでなく、遺言書をセットで作成しておくことが極めて重要です。
本件では、遺言書に以下の内容を明記しました。
自宅不動産は長男に相続させる。
長男は、自宅を相続する条件として、二男に代償金○○万円を支払う。
預貯金は二男に相続させる。
さらに付言事項として、「長男が受け取る保険金は、二男への代償金の支払いのために準備したものです」というG様の想いを記すことで、長男への法的な支払い義務付けと、ご家族への感情面でのフォローを両立させました。保険と遺言はセットで対策して初めて、確実な生前対策として機能します。
お客様の声
長男と同居しているこの家をそのまま長男に継がせたいと思っていましたが、私には預金が少なく、離れて暮らす二男との間で不公平になってしまうのが悩みの種でした。二男にもきちんと財産を残してあげたいけれど、家を売るわけにはいかず、どうすればいいか分からずにいました。
専門家の方に相談して、生命保険を使ってもともとのお金のよりも少し増やして二男へ渡すお金(代償金)を準備できると知り、そんな方法があるのかと大変驚きました。さらに、「保険に入るだけでは、将来もし長男が心変わりした時に兄弟で揉める原因になりかねない」と指摘していただき、目が覚める思いでした。
アドバイス通り、遺言書で「家は長男に継がせる代わり、保険金を使って二男に現金を渡すこと」をしっかりと定めてもらい、私の本当の想いも手紙(付言事項)として残すことができました。仲の良い兄弟が、私がいなくなった後に揉めることだけは絶対に避けたかったので、これで本当に安心しました。専門家の先を見据えたきめ細かいサポートに心から感謝しています。