顧客概要
ご主人様(被相続人)/61歳/自営業/配偶者あり・実子2人(前妻との子、現在の妻との子)・養子1人(現在の妻の連れ子)/総資産:7,000万円(金融資産4,000万円・不動産2,000万円・その他1,000万円・負債1,000万円)
ご相談の背景・経緯
60代で自営業を営むご主人からのご相談です。ご夫婦はいずれも再婚で、双方に前婚のお子様がいらっしゃいました。ご主人には前妻との間に成人した子が1人、現在の奥様との間には中学生のお子様がいます。さらに、奥様の前婚の子とも養子縁組をしており、法律上は全員が相続人となる状況でした。
主な財産は、自宅兼店舗の不動産および事業用資産です。事業は長年続けてきたもので、現在は前妻との子が中心となって関与しており、ご主人としても事業は前妻との子へ承継させたいという強い意向がありました。
一方で、現在の奥様と中学生のお子様の生活を守ることも極めて重要です。中学生のお子様はこれから高校・大学と教育費の負担が本格化するため、居住の確保だけでなく、安定した生活基盤をどう整えるかが大きなテーマでした。加えて、現在の奥様の連れ子(養子)にも遺留分があるため、将来的な遺留分侵害額請求による事業資産の流出リスクも抱えていらっしゃいました。
専門家のポイント解説
再婚家庭で養子縁組があり、かつ事業承継が絡む本件のようなケースでは、「事業の安定」「配偶者の生活保障」「子の教育費」「遺留分対策」という複数の要素を同時に整理する必要があります。
当事務所では、3つの課題に対し以下のような包括的なソリューション(遺言信託・保険活用)を設計・実行しました。
1. 配偶者居住権を活用した事業承継と居住の確保
自宅兼店舗不動産については、所有権を前妻との子に承継させる公正証書遺言を作成しました。そのうえで、現在の奥様には配偶者居住権を取得させる設計としました。これにより、事業用不動産の所有権を分散させることなく事業基盤を安定させつつ、奥様の終身の居住権を確実なものにしました。
2. 生活資金・教育費の確保
中学生のお子様の将来の進学費用を見据え、預貯金や保険金の一部を生活資金として確保する設計としました。手元資金に一定の余裕を持たせることで、奥様とお子様の生活の不安を軽減しています。
3. 生命保険を活用した遺留分対策
養子である奥様側の子からの遺留分侵害額請求に備え、生命保険を活用しました。死亡保険金は受取人固有の財産となるため、これを遺留分対応資金の原資とすることで、いざという時に事業資産や不動産を切り崩すことなく、金銭での調整が可能となります。幸いにも比較的早い段階で保険に加入できたため、保険料の負担を抑えつつ十分な対策が打てました。
さらに、遺言書の付言事項にこれらの財産配分に至った理由(事業を守る想い、家族全員の生活を案じる想いなど)を丁寧に明記しました。法的・経済的な整理だけでなく、ご家族の感情面へ配慮することが、将来の紛争(争族)予防に大きく繋がります。
お客様の声
再婚家庭で子供たちそれぞれの立場が違うため、自分に万が一のことがあったら、大切に育ててきた事業も、家族の生活もバラバラになってしまうのではないかと一人で悩んでいました。
専門家に相談したところ、配偶者居住権や生命保険を使った具体的な解決策を分かりやすく提示してくれました。事業を継ぐ長男には不動産を残しつつ、今の妻と小さな子どもの住まいと生活費もしっかり守ることができると分かり、本当に肩の荷が下りました。また、養子への遺留分という自分では気づけなかったリスクにも事前に対策が打てて安心しています。
遺言書に私の想いを残す付言事項のアドバイスもいただき、残される家族への最高のプレゼントになったと感じています。自営業で複雑な家族構成の方こそ、元気なうちに専門家に全体像を整理してもらうべきだと実感しました。