顧客概要
H様(被相続人)/78歳/年金受給者(無職)/配偶者・身内なし/総資産:5,500万円(金融資産3,000万円・不動産2,500万円)
ご相談の背景・経緯
70代の女性H様は、長年おひとりで暮らされており、頼れる身内はいらっしゃいません。ご自身の生活資金である預貯金と現在お住まいの自宅マンションを所有されており、「もし財産が残ったら、お世話になった保護犬の支援団体に寄付したい」という長年の想いがありました。
そんなH様がご相談に来られたきっかけは、体調を崩して入院した際、病院から「保証人と緊急連絡先を書いてください」と求められたことでした。頼れる親族がおらず、この出来事を機に将来に対する不安が一気に表面化しました。「今後、介護施設に入りたくても保証人がいなければ入所できないのではないか」「もし認知症になったら、預金はおろせるのか」「自分の死後、誰が葬儀や片付けをしてくれるのか」。
特に遺言がない場合、亡くなった後は利害関係者の申立てにより家庭裁判所が相続財産清算人を選任するという大掛かりな手続きになり、「誰かに迷惑をかけてしまうのでは」という強い懸念もお持ちでした。「生きている間の安心」と「亡くなった後に周囲へ負担をかけないこと」の両方を実現するため、当事務所へご相談いただきました。
専門家のポイント解説
今回の事例では、頼れる身内がいないおひとりさまの終活において、遺言書だけでは生きている間の不安や死後の手続きをカバーできないという点が最大のポイントです。
H様が直面した課題は大きく3つの壁に分けられました。1つ目は、入院・施設入所時の身元保証の壁。2つ目は、判断能力低下時の財産管理の壁。そして3つ目は、亡くなった後の死後事務・遺産承継の壁です。これらを放置してしまうと、H様の「誰にも迷惑をかけたくない」「保護犬団体に寄付したい」という想いが叶わないリスクがありました。
当事務所では、これらの課題を包括的に解決するため、4つの契約を組み合わせた対策を実行しました。
1. 身元保証契約
喫緊の課題である入院や将来の施設入所時に必要となる身元保証を、専門法人等と締結。これにより、保証人がいないことで医療や介護サービスを受けられなくなる事態を防ぎます。
2. 任意後見契約
万が一認知症などで判断能力が低下した際に備え、財産管理や介護の手配などを信頼できる第三者(司法書士など)に任せる契約です。ご自身の財産が守られ、適切な生活支援を継続して受けられるようになります。
3. 遺言公正証書
「お世話になった保護犬の支援団体に財産を遺贈する」と記載し、遺言執行者を指定することで、相続財産清算人の手続きを経ずに、ご自身の想いをスムーズに実現させます。
4. 死後事務委任契約
遺言書ではカバーできない葬儀・納骨、役所への届出、遺品整理といった亡くなった後の具体的な事務作業をあらかじめ依頼しておくことで、裁判所の手続きを待つことなく迅速な事後処理が可能となります。
おひとりさまの終活は、ご自身の希望や状況に合わせて、専門家と相談しながら「身元保証」「任意後見」「死後事務委任」といった契約を遺言書と組み合わせ、包括的に準備しておくことが極めて有効です。それが「最後まで自分らしく、周囲に迷惑をかけることなく、安心して生きる」ための確実な備えとなります。
お客様の声
病院で突然「保証人が必要です」と言われたとき、頼れる身内がいない私は本当に目の前が真っ暗になりました。「このままでは施設にも入れないのでは」「私が認知症になったらこの家や貯金はどうなるの?」と不安で眠れない日々が続きました。
思い切って専門家であるこちらの事務所に相談したところ、私の不安を一つひとつ丁寧に聞いてくださり、遺言だけでは足りないという事実と、それをカバーするための具体的な方法を分かりやすく教えてもらえました。
身元保証や認知症になった時のこと、そして死後の手続きまでお願いできる体制が整ったことで、長年の希望だった保護犬団体への寄付も確実に実現できると分かり、本当にホッとしました。今は「何かあっても専門家がついているから大丈夫」という安心感のおかげで、毎日を心穏やかに過ごせています。私と同じようにおひとりで不安を抱えている方には、元気なうちに早めに専門家に相談し、しっかりとした備えをしておくことをおすすめします。